ショートコメディの世界



最近になって気が付いた。


彼女が時折、僕の事を見てくれているみたいに感じる。


自意識過剰だろうか?


けれど、確かに以前より彼女が僕と目を合わせる回数は多くなった気がする。


彼女が僕を意識し始めている。


これは、そういう事なのだろうか?


今のままでは、勉強にも身が入らない。


もしも、彼女が僕の事を気に止めているのならば、僕は勇気を持って行動に移すべきなのではないか。


また、彼女と目が合った。


以前の彼女なら、こんな時恥ずかしそうに目を伏せていたのに、今は違う。


『ねぇ、早く私の気持ちに気付いて!』


まるで、今にもそんな風な事を口走りそうに見える。


僕は、決断した。


行動を起こそう!


けれども、いきなり彼女に話しかけるなんて出来ない。


僕は、ポケットから英単語カードを取り出しその一枚をちぎった。


そして、その余白にペンで自分の名前とケータイのメールアドレスを書き、それを右手に握りしめた。


電車が駅に着き、僕が電車から降りる時、ドアの横に座っている彼女にそっとこれを手渡そう。


これが、今の僕に出来る精一杯の行動だ。



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