小悪魔がーる。
別に彼氏が欲しいわけじゃない。
ただ淋しいだけ。
ただ一人でいたくないだけ。
そんな時、タクと出会った。
初めてタクと出会ったのは、さっきの出来事の直後だった。
教室を出たあと向かったのは校庭のすみの大きな木の下。
なんとなく惹かれるものがあって、そこにたどり着いた。
木の幹に寄り添うようにして座ると、
『そこ俺の特等席なんだけど』
初めてタクと会った瞬間だった。
登校したてらしく、バッグを肩に担いで立っていた。
「あたしが先に座ったんですけど」
『俺の特等席なんだけど』
「だからあたし座ってたんですけど」
『俺の』
どうやら譲る気はないらしい。
『どけって言いたいところだけど、お前泣きそうだから今日は許す』
そう言って隣に座ってきた。
「泣きそうじゃないです」
『泣きそうだから』
「泣きそうじゃない』
『泣きそう』
「泣きそうじゃなっっ」
『泣いてる』
タクは別にあたしの方を見る事はなく、あたしが泣き止むまで一緒にいてくれた。