小悪魔がーる。



別に彼氏が欲しいわけじゃない。


ただ淋しいだけ。


ただ一人でいたくないだけ。




そんな時、タクと出会った。

初めてタクと出会ったのは、さっきの出来事の直後だった。



教室を出たあと向かったのは校庭のすみの大きな木の下。


なんとなく惹かれるものがあって、そこにたどり着いた。


木の幹に寄り添うようにして座ると、


『そこ俺の特等席なんだけど』


初めてタクと会った瞬間だった。



登校したてらしく、バッグを肩に担いで立っていた。



「あたしが先に座ったんですけど」

『俺の特等席なんだけど』

「だからあたし座ってたんですけど」

『俺の』


どうやら譲る気はないらしい。



『どけって言いたいところだけど、お前泣きそうだから今日は許す』


そう言って隣に座ってきた。


「泣きそうじゃないです」

『泣きそうだから』

「泣きそうじゃない』

『泣きそう』

「泣きそうじゃなっっ」

『泣いてる』



タクは別にあたしの方を見る事はなく、あたしが泣き止むまで一緒にいてくれた。
< 7 / 11 >

この作品をシェア

pagetop