スーツを着た悪魔【完結】
たとえば滑らかな首筋だったり
くっきりとした鎖骨だったり――
指先でなぞれば、どんな気分になるだろう。
唇で触れれば、まゆはどんな顔をするんだろう。
「あら、素敵」
未散はウフフと笑いながら二人を見比べる。
妹の面白がっている視線に気付いた深青は、ハッとしてその手をテーブルの上に置いた。
「何が素敵なんだ、こいつがガキみたいだから……で!」
「すみません……あの……」
「まぁ、まぁ、いいじゃない。恋人同士なんだもの。可愛くて、絵になったわよ」
「未散……」
耳まで赤くしたまま、うつむく。
隣で大きなため息をつく深青に、まゆは穴があったら入りたい気分だった。
絵になったなんて……そんなはずないのに。
私ったら、どうしてこうなんだろう……。