スーツを着た悪魔【完結】
初デート
――――……
「あの……」
「――」
まゆは隣に座って渋い顔をしている深青をちらりと見上げた。
レストランでの食事を終えた後、未散は「あとは若いお二人で」と、妙な発言をしてホテルハイヤーに乗り込み去っていってしまった。
とりあえず「送る」と言われ、まゆたちもハイヤーに乗り込んだはいいのだが、まゆは深青が本気で「デート」する気なのか判断できなかった。
「――土曜日、出かける」
何か決心したのか、深青は重いため息をとともにそう言い放った。
「え!」
本気で私とデートするつもり!?
「予定でも?」
体の前で腕を組んだ深青は、ちらりと隣のまゆを見下ろした。