スーツを着た悪魔【完結】
――――……
「つ……つかれた……もうだめ……無理……」
「さびれた遊園地も意外に面白いな……。メシ食ったら次はあっちに行くぞ。ウサギがいる。おまえの仲間だ」
「もうっ……」
まったく正反対のことを言いながら、しばふ広場に座り込む二人。
「喉渇いた……」
ぽつりと言った深青の言葉に、隣のまゆはバッグを開け水筒を取りだした。
「あのね、お砂糖淹れた紅茶ならあるけど……」
「お前もしかして弁当作ってきてる?」
深青が中を覗き込んできた。
「あ……っ!」
慌ててトートバッグを閉じたけれどもう遅い。
「なんで黙ってるんだよ。道理ででかい荷物だと思った」
「でも、口に合わないかなって……」
言い訳めいたまゆの言葉を特に気にした様子もなく「中身、なに?」と、深青。
「クリームチーズとスモークサーモンのベーグルのサンドイッチと、生ハムとオニオンサラダと、唐揚げ……と、卵焼き」
「へぇ……唐揚げと卵焼き……」