スーツを着た悪魔【完結】

深青と頼景は、身長、体重はほぼ同じ。体格に差はない。

ただ受ける印象は太陽と月ほどの差があるかもしれない。


深青は常に「礼儀正しい自分」というのを演じていて、誰に対しても優しく接する。

そして華やかな母親によく似ているせいか「王子様」扱いされるのが常だ。

その点頼景は絵に描いたようなクールビューティーで、その性質は誰に対しても「冷淡」
ただ誰に対してもそうなのである意味嫌味はない。

深青に負けず劣らず優秀ではあるが、父親の会社を継ぐつもりはないのか、今は日本を代表する化粧品メーカーである芙蓉堂で働いている。



「悪い。少し片付かない案件があってさ」

「いや、いいよ。実際そうだな……ここは、お前の母上の手料理より劣る。例えばこの金目鯛にかかった百合根のソースだけど、旬でもない百合根がまず旨くない。昔お前の家で食べた、ホイル焼きに塩ふったヤツのが百倍旨かった」



実際、深青の母の料理の腕はプロ級なのだが、なによりも愛情あふれる母の料理を頼景は懐かしく思ってくれているようだった。



「母さんに伝えておく。喜ぶよ」



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