スーツを着た悪魔【完結】
「っ……」
直接的な言葉に思わずごくりと息を飲んでしまった。
本当に触っていいの……?
嘘だよね?
けれど深青はつかんだまゆの手を自分の胸の上に引き寄せる。
一瞬とまどったまゆだったが、やがておずおずと、手のひらを深青の胸の上で滑らせ始める。
たくましい胸板。しっかりとした筋肉。脈打つ鼓動。
シャツ一枚下の深青の体は熱く、実に男らしかった。
男の人って、こんなに大きいんだ……
私と全然違うんだ……
そうやってしばらく自分の体に触れさせて――
深青のぬくもりにうっとりするまゆの背中を、手のひらでゆっくりと撫で引き寄せた。
「まゆ……」
そしてそのまま、彼女を腕の中に閉じ込める。
重なった二人の体はまるであつらえたように凹凸がピッタリで、不思議なことに呼吸のタイミングまで同じだった。