スーツを着た悪魔【完結】
暴君の甘い束縛
それから深青は、正式にまゆをOrlandoの社員にした。
彼女の真面目な働きぶりはほかの社員も認めるところだったので、そのこと自体は歓迎されたのだが――
深青はまゆを今までのように事務員ではなく、秘書と言う形で側に置くことにした。何はともあれ、自分の側に置いておけると思ったからだ。
と言っても勿論、職場内でおおっぴらにまゆに触れることは出来ない。が、今日のように、客が来るからと、業務終了後他の社員をすべて帰して、二人きりで触れ合える時間を深青は楽しみにしていた。
「み、さお……」
「静かに」
まゆとは二人きりになった瞬間から今まで、唇が腫れるくらいキスをしている。
どれほど口づけても満ち足りると言うこともなく、ただ、これ以上するといい加減歯止めが効かなくなると危惧した深青は、まゆを膝に乗せ、ぴったりと背後からくっつくというふざけた体勢で仕事をこなしていた。
確かに空いた手で一応書類を眺めてはいるが、どこまで頭に入っているか怪しいものだ。
「で、でも、もうすぐお客様来られるんじゃ……」
「ああ……でも約束の時間を大幅に遅れてる。ったくヨリのやつ何考えてるんだ。今夜の飯はあいつにおごらせよう」