スーツを着た悪魔【完結】
『離婚するのに一年余分に時間がかかったけど』
さっき、悠ちゃんはそう言った。
本当に……?
それが本当なのか、確かめなければ……。
決心したまゆは、緑茶をお盆に乗せ、悠馬の前に湯のみを置いた。
「ありがとう」
悠馬はにっこりと笑って、お茶を一口すすり、使い古したちゃぶ台の上に置いた。
「――にしても、ずいぶん古いね」
部屋を見回し、ふっと唇をほころばせる悠馬。
「この部屋のこと?」
「そうだよ。いくらなんでもみすぼらしすぎる。引っ越しなさい」
有無を言わさぬ口ぶりに、相変わらずだと自嘲しながらまゆは唇をかむ。