スーツを着た悪魔【完結】
余計なことって、なんだろう。
確かに邪険に扱われているけれど、たとえ嫌われていたとしても、この春高校を卒業するまで面倒を見てもらったことは、恩だと感じている。
本来ならこうやって『生きていてはいけない自分』なのだから。
「まゆに絶対似合うと思ったんだ」
「お嫁さんになる人が選んでくれたの?」
まゆは柔らかく微笑んで、ドレスの裾をつまんで揺らす。
淡いピンクのドレス。まるでまゆのためにあつらえたような美しいドレスだった。
そして何より驚いたのは、パンプスまでサイズがぴったりだったこと。
嬉しいけれど、どうしてサイズがわかったんだろう?
「まさか。僕がまゆのために選んだんだよ」
「え、そうなの?」
「ああ」
悠馬は穏やかに微笑むと、まゆの手を握り歩きはじめる。