スーツを着た悪魔【完結】

不安になりながら、どこに向かうのかと隣の彼を見上げると、彼はまだ誰もいない教会の前で立ち止まった。


もしかして緊張してるんだろうか?

彼のようなスーパーマンでも、さすがに人生の節目には思うことがあるんだろうか。


まゆはそんなことを思いながら悠馬の横顔と教会を見比べながら口を開いた。



「きれいな教会だね」

「そう?」

「そうって……今から式でしょう?」

「まあね……」



なぜかめんどくさそうに、悠馬はため息をつく。

とても幸せそうに見えない彼に、まゆは首を傾げた。



「悠ちゃん……」

「まゆ、ストッキングが少しよれてるよ」



けれど悠馬はそんなまゆの疑問には気づかないのか、それともどうでもいいのか……くすりと笑い目線を下ろす。



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