スーツを着た悪魔【完結】
悠ちゃんは優しい。
だけど時々怖い。
何を考えているかわからなくなる。
「だけど駄目だよ。まゆ」
「え……」
「こんなパフォーマンスのための教会なんてうっとり眺めてどうするの」
「――」
低い声にほんの少し背筋が震えた。
私、そんなふうに見えた?
「結婚になんか憧れてはだめだ」
「でも悠ちゃん……結婚するんだよね……?」
動けないまま、まゆは悠馬を見下ろす。
心臓がドクドクと音を自己主張を始める。
「茶番だよ。2年で離婚するつもりだ」
「離婚……?」
今日、今から神様に愛を誓うはずのイトコの言葉に耳を疑った。