スーツを着た悪魔【完結】
「好きだから結婚、するんじゃないの……?」
「まゆ……」
まゆの言葉に悠馬は苦笑する。
その苦笑いに、またまゆは混乱していた。
「そ、それに、離婚はでも出世に響くとか、言うけど……」
戸惑うあまり、思わずわけのわからないことを口走ってしまっていた。
本気で悠馬の出世を心配していたわけではないが、そんなことを考えて結婚する悠馬が信じられなかった。
「関係ないよ。出世なんて自分でするもんじゃないんだ。誰かが僕を評価した結果が出世に繋がるということを理解していれば、僕の人となりは関係ない」
求められているのはただ実力だけ。悠馬はそう言いたいらしい。
それを彼の「自意識過剰」だとは思わなかった。
実際悠馬は思うような人生を歩んでいる。一度だって挫折したことはないはずだ。
「じゃあどうして……」