スーツを着た悪魔【完結】
警告
恋というのは、まるで魔物だ。
今までこんなふうに混乱したことなんてなかったというのに、理性も常識もすべて、頭から丸呑みされて、我を見失ってしまう……。
明るい場所とは関係ないと割り切って生きてきて、ただ砂をかむように味気なく生きてきた。
いや、生きてきたと言えるんだろうか。
私はただ「死ななかった」だけで、本当は生きてはいないのかもしれない……。
トボトボと足を引きずりながらOrlandoへと帰り、いつものように雑務をこなし、終業時間を終えて自分の部屋へと戻る。
シャワーを浴び、いつもと変わらない質素な食事を作り、それを一人で食べる。
本当にいつもと変わらない、静かな日常だ。
けれどなんて味気ないなんだろう……。