スーツを着た悪魔【完結】
手を緩めると、頼景はゲホゲホとせき込みながら、ソファーに腰を下ろす。
「おまえに悪いとは思ったが、これは必要なことだった……」
真剣な表情で頭を下げる頼景を見下ろして、深青はゆっくりと首を振った。
「なぁ、ヨリ。お前が心配してくれてるのはわかる。だけどな、これは俺の問題だ」
そしてテーブルの上の書類に手を伸ばす。
まゆ……。
ずっしりとした重みに、まゆの過去の重みを思う。
ここにまゆのことが書いてあるのなら、やはり知りたいと思う。
だが、それは出来ないと思った。
うまく説明できなかったが、これをまゆから打ち明けられるより先に見るのは、卑怯な気がしたのだ。