スーツを着た悪魔【完結】

せめて何か急用でも入れば!と思ったが、今日に限って特に残業を申しつけられることもなく、着々と時間が過ぎていく。


そしてすぐに終業時間はやってきてしまった。



「まゆちゃ~ん!」



ウキウキ声の平田は恐ろしく機嫌がいいようだ。



「さ、行こう! おいしいお店予約したからねっ!」

「は、はい……」



仕方ない。

腹をくくるしかない!


決意し、立ち上がったまゆがうなずくと同時に「澤田さん」と、背後から声がかかる。

振り返ると、深青がニコニコと穏やかに微笑みながら近づいてくるところだった。



「急で悪いんだけど、今まで澤田さんの歓迎会をしてなかったでしょう? 今日、どうかな。珍しく全社員いるし」

「えっ!」



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