スーツを着た悪魔【完結】

まゆよりも隣の平田が目を真ん丸にする。と、後ろからはしゃいだ様子の阿部が近づいてきて、まゆの隣に立ち、キャッキャとはしゃぐ。



「なんと、社長がごちそうしてくださるんですって♪ やった~っ!」



社長がごちそう?

社員全員分を!?


まずそっちに驚くまゆだったが――


「どうかな、澤田さん。勿論平田君も来るでしょう?」



深青はいつものOrlandoで見せる御曹司の表情で、まゆと平田の顔を順番に見比べる。



「あっ……う。は、はい……」



さすがに社長にまゆと二人で食事に行くとは言えない平田は、うなだれつつも、うなずく。


深青……もしかして助けてくれた?

私が困っていたから……そうなの?


ジッと彼を顔を見つめると、視線が重なる。
その一瞬、深青はそっと目を細め、安心しろ、という風に唇の端を持ち上げる。

そう、見えたのだ。まゆには――。


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