スーツを着た悪魔【完結】
どうしよう。今なら話せるかな。
深青にありがとうって、言いたい……。
でもそんなの私の勘違いだったら?
恥ずかしい。
それに、深青だって私にそんな風に話しかけられるのが迷惑かもしれないし……。
「ねえねえ、まゆちゃん」
「はい」
「まゆちゃんって彼氏いるの?」
「えっ!?」
「いないなら立候補しようかな~なんて。でへへ~」
まゆの反対側に座った平田が(彼はあきらめの悪い男だった)、焼き鳥を頬張りながら、まゆの膝の上に手を乗せる。
「ちょっ……や、やめ……」
さすがにこれは困る。