スーツを着た悪魔【完結】
「今度、二人でメシ作るか」
「え?」
「外食も悪くないけど。たまにはいいだろ?」
「深青、料理作れるの……? あ、そういえば前、手際よかったね」
パンプティングにホットワイン。
男性から手料理を振舞われたのはもちろん生まれて初めてだったが、あれが普通だとはとても思えない。
きっと普段からやり慣れているんだろう。
「母親が料理好きなんだ。プロ並みでさ。で、ガキの頃から兄妹で手伝うのが楽しみだったし。ああ……だったらダイニングテーブルが必要だな。用意しないと……」
どこまで本気なのか、テーブルを買うという深青に、まゆは苦笑した。
「わざわざ買わなくてもいいんじゃないの?」
「わざわざじゃないだろ。まゆと一緒にメシが食える」
そして深青は、ニッコリと笑ってまゆを見下ろす。