スーツを着た悪魔【完結】

深青なら――
深青となら――

傷ついても、痛くても、それでも一緒にいたい。


ざわめく懇親会の会場の中、まゆはこっくりとうなずき、深青を見つめ、小さな声でつぶやいた。



「ありがとう……」



――――……



思いを確かめ合い、二人で少しずつ歩んでいこうと決めた夜ではあるが、深青もまゆも、同じ部屋で眠ろうとは言いださなかった。



「じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」



二人はドアの前でおやすみと言いあい、そのまま別れて自分の部屋に入る。

まゆはふわふわした気分で部屋の電気をつけ、ベッドに腰を下ろした。



深青……

いつか、あなたと抱き合えるかな。


そんな日が来るんだろうか。


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