スーツを着た悪魔【完結】
二人の食卓
帰りの新幹線の中、深青はまゆを窓際に座らせ、その間ずっと彼女の手を握っていた。
何度か人が通路を通るたび、いちいち手を引こうとしたまゆだったが、深青はそれを許さなかった。
「いいだろ、このくらい」
「で、でも……」
うつむくまゆ。
体の大きな深青が隣にいたので、とくに目立つということはなかったのだけれど、やはり恥ずかしいらしい。
見ると、うっすらと頬が赤い。
繋ぐと言っても、彼女の手の甲の上に自分の手のひらを重ねているだけなのだが。
「今時中学生でももうちょっと進んでるぞ」
「えっ……」
深青の言葉に、まゆは信じられないと目を丸くして顔をあげる。