スーツを着た悪魔【完結】
「ああ……」
そうだった。
俺、こいつに面倒なところ見られて。で、口止めだってキスしたんだった。
しかもアレだ。一回寝たくらいで彼女面すんなとか、そういう台詞を聞かれたんだ。
マズイ。割と最低だな、俺……。
今さらだが、まゆに嫌われるような真似をしたのだということを思い出す深青。
「あー、まゆ……」
「それに深青は忘れてるから、ずっと言わなかったけど」
「ん?」
「あの合コンの時が初めてじゃないからね」
「――は?」
いったいまゆは何を言っているんだろう。
深青は首を傾げたが――
「本当に覚えてないんだ」
まゆはちらっと深青を横目で見つめると、その魅力的な唇を尖らせる。