スーツを着た悪魔【完結】

「嘘。深青ってタラシなんだ」



けれどまゆは深青の言葉をバッサリと切り捨て、眉根を寄せる。



「いや、そうでもない、けど……いや、ごめん」

「全然、覚えてないの？」

「――ない」

「最低」

「ごめん」

「まぁ、サークルだって百人単位で女の子がいたもの。私のことなんか覚えてなくて当然よ」

「えっと」



三年前の自分と言えば、最高に調子にのっていたころのような気がする。
（これでも一応落ち着いたという自覚はある）

深青は内心ひどく慌てていたが、落ち着け、と自分に言い聞かせ、握った手に力を込めた。



「あー、それは、あれだ。まゆのことを内心可愛いなって思ってたんだろう」

「はぁ……」

「おい、ため息つくな」

「だって。深青って嘘が下手なんだから」