スーツを着た悪魔【完結】
まゆは深くため息をついたあと、じっと深青を見上げる。
彼女の澄んだ黒い瞳で見据えられると、丸裸にされるような気がする……。
やましいところがたくさんある深青としては、目を逸らしたい気分だったが、そういうわけにもいかない。
仕方なく彼女の追及を受け止めることにした。
「――深青は、たくさんの女の人と付き合ってきたんでしょう?」
「たくさんっていうか……まぁ、普通……」
「さっきから普通、普通って。はぁ……」
面白くないまゆだったが、深青にしてみれば何をもって「付き合ってきた」というのか、まずそこでつまずくので正確に応えられないだけなのだが――
にしてもどうやら今日のまゆは、かなりアグレッシブなようだ。
だがこれも、自分に興味を持ってくれた結果なのだと思えないこともないと、深青は嬉しかった。
なぜなら今までのまゆはいつもうちにこもっていて、こんな風に自分に興味を持ってくれたことなど一度もなかったのだから。