スーツを着た悪魔【完結】
成り行きで恋人宣言?
合コンを終えた翌朝。
土曜日だというのに、まゆの目覚めは最悪だった。
豪徳寺深青。
最低な奴!
何をどうやったらあんな男に育つんだろう。
いったいどんな親に育てられたのか――あの男の親の顔が見てみたいと本気で思う。
顔だけはとびっきりいいに違いないけれど(なにしろ深青があの容姿だ)、まともな人間ではないはずだ。
寝起きにシャワーを浴びても、濃いエスプレッソを飲んでも、すっきりしない。
「掃除でもしようかな……」
元々きれい好きで片付いてはいるけれど、最近は忙しくて掃除が手抜きだった。
はたきをかけ、ホウキでごみを掃き、バケツに水をくんで、雑巾で床を拭く。
ごしごしと腕に力を入れて床を拭いていると、だんだん気分が晴れてきた。
ついでに模様替えでもやろうかと、1Kの部屋の中を見回す。