スーツを着た悪魔【完結】
そして両手でまゆの肩を包みこむと、親指で鎖骨を中央から左右へと撫で始める。
よく、彼はまゆの涙を拭くときにまぶたの下を親指で撫でるのだが――
それに近いことをされただけでおかしなことはされていない。
けれどたったそれだけのことのはずなのに、妙に体全体がゾクゾクと震えて……なんだか……。
まゆは思わず深青を見つめ返したが、深青はそんなまゆの視線には応えないまま顔を寄せ、耳の下に音を立てて口づけた後、首の付け根から耳の下まで、舌で舐め上げる。
「あっ……」
耳たぶが彼の形のいい唇の中に吸い込まれ、ちゅうっと吸われて全身から力が抜けた。
深青に背中を支えられながら、崩れるように敷布団の上に横たわるまゆだったが、首筋を舐める深青の舌はそのまま追いかけてきて、しっとりとまゆの肌の上を這う。
思わず逃げるように身をよじると、深青の手が後ろからまゆの胸を支えるように包み込む。