スーツを着た悪魔【完結】
しっとりと濡れたまゆの体は、男にしては細い深青の指を受け入れられそうだと思ったが、とりあえず生まれて初めて男に触れられるまゆをこれ以上驚かすのも気が引けた。
目じりに浮かぶ涙をキスで舐めとり、そのまま小刻みにまゆの快感を煽る。
「あっ、あ、」
気持ちいいかと尋ねられること以上に、こんな声が出ることが死ぬほど恥ずかしい。
耳をふさぎたいのに、深青に触れられ、しとどに濡らし、恥ずかしい音を出しているのは自分の体だ。
「みさ、あっ、や、あ、」
まゆはかすかに悲鳴をあげ、深青の胸に顔を押しつけつつ、陸にあげられた小さな魚のように体を震わせる。
そこでようやく深青は手を止め、腕の中の肩で息をしているまゆの額にキスを落とした。
「まゆ……」
「っ……やだ、もうっ……」
やめてなんて思う暇も言う暇もなかった。
深青はこういうことにすごく手馴れている。
私なんか赤子の手をひねるがごときだったに違いない。