スーツを着た悪魔【完結】
「――誰だよ、こんな時間に」
絶妙なタイミングで鳴った携帯に、きょろきょろと部屋の中を見回す深青だったが、まゆは慌てたように電気をつけると、部屋の端に置いてあったバッグへと駆け寄り、携帯を取り出した。
「まゆ?」
「悠ちゃんなの……」
「は?」
悠ちゃんって――
イトコの悠ちゃん、か?
こんな時間に?
思わず壁に掛かっている時計を見る深青だったが、
「――はい、もしもし」
まゆはその場に正座すると、どこか緊張した様子で電話に出た。
『まゆ?』
「悠ちゃん、すぐに出られなくてごめんなさい」
『いいよ、寝てたんだろう?』
「あ……」