スーツを着た悪魔【完結】

「――誰だよ、こんな時間に」



絶妙なタイミングで鳴った携帯に、きょろきょろと部屋の中を見回す深青だったが、まゆは慌てたように電気をつけると、部屋の端に置いてあったバッグへと駆け寄り、携帯を取り出した。



「まゆ?」

「悠ちゃんなの……」

「は?」



悠ちゃんって――

イトコの悠ちゃん、か?


こんな時間に?


思わず壁に掛かっている時計を見る深青だったが、

「――はい、もしもし」

まゆはその場に正座すると、どこか緊張した様子で電話に出た。



『まゆ?』

「悠ちゃん、すぐに出られなくてごめんなさい」

『いいよ、寝てたんだろう?』

「あ……」




< 424 / 569 >

この作品をシェア

pagetop