スーツを着た悪魔【完結】
悠馬はまゆの問いかけを無視したまま、けれど優しげに問いかけてきた。
「あ……」
そう言えば、京都のホテルで悠馬から連絡があったとき、明後日なら会える、帰宅したら連絡すると言ったことを思い出した。
私ったら、結局深青と過ごすことを優先して連絡するのを忘れていたんだ……。
約束を破るなんて最低だ……。
まゆは深く反省しながら、携帯を持つ手に力を込めた。
『――まゆ?』
「うん大丈夫。ごめんなさい、ちゃんと連絡しなくて……」
『いいんだよ。疲れてたんだろ?』
「疲れてるっていうか、いろいろ、あって……。そうだ、私、悠ちゃんに話があるの」
『話?』
「大事な話だから、電話じゃなくてちゃんと話したいんだけど」