スーツを着た悪魔【完結】
まゆはそこでようやく落ち着きを取り戻し、何気なく携帯を持ったまま振り返る。
と、そこで自分をジッと見つめる深青と目が合った。
何も言わないけれど、どこか心配そうに私を見つめている。
どうして?
私何か、変だろうか。
不安になりながらも、悠馬にいよいよ話す時が来たと、まゆは心を決める。
さすがに今、二人でいるなんて言えないけど……深青のことは話さなきゃ。
私に大事な人ができたこと……
すぐに理解してもらえなくても、悠ちゃんには言わなきゃ。
『――わかったよ。僕もまゆに話したいことがあるからね。その時に聞こう』
「うん。じゃあ、また明日」
ホッとしつつ携帯を切ろうとしたまゆだったが――
『まゆ』
涼やかな悠馬の声に、引き留められてしまった。