スーツを着た悪魔【完結】
まゆはぐっと喉の奥からせりあがってくる何かを飲みこみながら、自分を好きだと言ってくれる男の顔を見つめた。
「まゆ……」
まゆの柔らかな頬に手のひらを乗せ、親指で優しく目の下を撫でる深青。
「本当に、大丈夫なんだな?」
真意を確かめる、彼の色素の薄い茶色の瞳は、まゆをまっすぐに見つめて逸らされない。
深青っていつもこう。
話す時はいつも体のどこかに触れて、目を見て話す。
だから守られているような、あったかい気持ちになれる。
「うん。大丈夫だから。私のこと信じて」
力強くうなずくまゆに、深青はそれ以上何も言えなくなった。
「――そうか、わかった」
「うん。ありがとう」
ホッとしたまゆは、息を吐き、深青から体を離し、にっこりと微笑んだ。
「じゃあ、寝よっか」
「ああ……」