スーツを着た悪魔【完結】
親戚……
そうだ。
悠馬と自分は血が繋がっている。
彼は両親が死んだ今、数少ない身内で、ずっと頼るべき相手だった。
だけど私だって、もう大人で……だから自分の足で立たなくちゃ。
彼をよりどころにして死ぬまで生きてはいけない。
まゆは気を取り直して、残りの仕事を急ピッチで仕上げることにした。
――――……
「じゃあ、お疲れ様です」
「お疲れ~」
周囲に断って、まゆは速足でOrlandoを出て自宅へと帰る。
着替えると言っても、そう何枚もいいドレスを持っていないまゆは、以前、深青と未散、三人で食事をした時のワンピースを引っ張り出す。
少しタイトな黒のノースリーブワンピースに前回はレースのボレロを羽織ったが、今回はシルクとコットンのストールを巻くことにした。
それらをハンガーにかけてシャワーを浴び、手早く身支度を整える。