スーツを着た悪魔【完結】
会議の最中もずっとまゆからの連絡を待っていたし、終わった後も待っていた。
しびれを切らして自分からOrlandoに電話をしてみれば、阿部に「澤田さんはデートらしいです。急いで帰りましたよ」と言われて、そうじゃないことは分かっていたが、酷く腹が立ったのだ。
『今って……本当に? もっと早く出来るだろ?』
「――」
『まゆ?』
ため息をまじえた深青の言葉に、昼間のモヤモヤがまた甦る。
私を調べたこと、隠してたのに……
知ってること、黙ってるくせに……。
『ま――』
「そういう、干渉はやめて」
まゆらしからぬ言葉に深青は一瞬息をのんだが、そんなまゆの反発は全く予想していなかったし、理解できなかった。むしろ深青の苛立ちを煽るだけだった。
『なんなんだよ、その態度……』
喧嘩なんかしたくない。こんなこと望んでない。
けれど二人とも気持ちが溢れてくる。