スーツを着た悪魔【完結】
いいも悪いもないのに、止められない。
「なにって……深青に言われたくない……!」
『はあ!? お前、本気でそんなこと思ってんのかよ!』
「っ……し、調べさせてたくせにっ……」
『なに……?』
「私のこと、調べさせてたくせに!」
言葉を吐き出した瞬間、抑え込んでいた涙がじわっとまゆの目に浮かぶ。
『――』
絶句する深青。
調べさせたって……まさか――
「知らないふりしてたんだよね。いつからっ……?」
『まゆ、』
「いや、いいよ、もう。本当のことだもの……」
一瞬声を荒げたが、まゆはすぐにしおれるようにささやいた。
そしてドアがノックされる音に振り返る。
「――悠ちゃん来たから。じゃあ、行ってくる」
『まゆ、待っ――』
「食事が終わったら連絡するから……」
深青の制止を振り切るように、まゆは通話を終わらせドアへと向かった。