スーツを着た悪魔【完結】
ギクッとしながら誰からの着信からかを確認すると――非通知だった。
非通知……?
怪しい……
そこで数秒待つと、留守番電話に切り替わる。
『――こんにちは。昨晩はありがとうございました。豪徳寺深青です』
「――!!!!!」
本気で驚いたまゆは、ビクッと体を震わせる。
どうして私の番号を?
いや、そもそもなぜ電話をしてきたの?
本物……?
じっと、用心深い草食動物のように耳をすませるまゆ。
けれど優等生ぶった声は、間違いなくあの最低男、深青のもののように聞こえる。
『昨日、あなたのものじゃないかな、と思うものを拾ったんですが……』
「えっ……!」
まゆは慌てて通話ボタンを押していた。
「あ、あの!」
『やっぱり居留守か……』
「えっ……」