スーツを着た悪魔【完結】

まゆはこっくりとうなずき、エスプレッソを口に運び、まろやかでクリーミーな泡ごと一気に飲み干した。

カフェインの効果なのか、まゆは胸のざわつきを覚えたが、ゆっくりと息を吐き、テーブルの向こうの悠馬を見つめ返す。



「じゃあ、本題に入るけど――そいつと寝た?」

「っ……」



いきなりの問いかけに、まゆは硬く体を強張らせ、青いセロファンが乗せられたかのように顔色を変える。


悠馬にはそれだけで伝わった。

まゆはまだ男を本当の意味で受け入れてはいないのだということを――

彼は『勝ち』を確信すると同時に、大声て笑いたい気分になった。


まゆの男はなんという意気地なしなんだろう。
ちょっと拒まれたくらい、どうとでもなっただろうに。



「――知らないくせに、受け入れられたと思ってるんだね。それはまゆの希望だよ。そしてその希望は決して叶えられることはない」

「そ、んな……こと」



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