スーツを着た悪魔【完結】

身に迫る危機


まゆに携帯を切られた後、何度こちらからかけなおしても応答がないことに、深青はひどく焦っていた。


電源を落としているわけではないから、マナーモードにしたとしても、自分の着信は伝わっているはずだ。


どうして出ないんだよ……!


いら立ちから携帯を床に叩きつけたい気分になったが、そこを必死にこらえ、深青はシャンテの重役室の中をひとしきりウロウロしたあと、書き物机に手をついてため息をつく。



「なにやってんだ、俺……」



どれだけ後悔しても遅い。


自分のことを調べさせたという言葉に、いったいどういうことかと黙り込んだのがいけなかった。

彼女が今日、自分の部屋で印鑑を探したことを思い出し、それからようやく、頼景から渡されたまゆの調査書を適当に置いていたことを思い出したのだ。




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