スーツを着た悪魔【完結】
そうやってひとしきり悩んでいると
「――若」
ドアがノックされて、社員が顔をのぞかせる。
顔をあげると同時に社員が困り顔で部屋の中に入ってきた。
「未散様がこちらに向かっているそうです」
「は?」
「暇だから付き合えと、会議中に秘書室のほうに連絡があったそうです」
「今日は……未散と遊んでる暇はない」
明るく能天気な未散と話していると元気が出るのは確かだが、今はそんな余裕はなかった。
「かしこまりました。未散様に若は急な仕事が入って外出されたと連絡しておきます」
「ああ、頼む」
社員は軽く一礼して出て行く。
妹には甘い深青だったが、今日はそれよりもまゆだった。
胸騒ぎが収まらない。
まゆ……
お前今、どこにいるんだ?