スーツを着た悪魔【完結】
――――……
「今度その名前を口にしたら、首を絞めるよ? 僕はそういうプレイが本当は一番好きなんだからね」
そういうプレイ?
いったいどういう意味だろう……。
悠馬は優しく微笑み、口調は冗談めかしてはいるけれど、ろくなことじゃない気がした。
「ごめんなさいは?」
「――ご、めん、なさい……」
まゆは口ごもりながら、視線をつま先に落とす。
エレベーターが上昇しているのか、下降しているのかわからない。
なんだか体がふわふわしている。
ついさっきまで胸が重苦しい、気分が悪いと思っていたのにむしろ全身から感覚という感覚がなくなったような気がする。
「悠ちゃん……」
「ん?」
悠馬は優しい声でエレベーターの中で自分にもたれているまゆを見下ろす。