スーツを着た悪魔【完結】
「――まゆ……」
悠馬は床に倒れたまゆの上にのしかかり、不愉快そうに眉をひそめる。
優しくしてやると言うのに、どうしてまゆは自分の思い通りにならないのだと、苛立ちすら覚えていた。
「今度男の名前を言ったら、首を絞めるって言っただろ?」
「っ……」
まゆの喉に悠馬の両手がかかる。
恐怖で全身が凍りつく。
冗談かもしれない。本気かもしれない。
首にかかった悠馬の指に力がこもり始める。
こんなことで、私、死ぬの……?
今度こそ本当に、しぬの……?
深青。
深青、深青!
いやだ、死にたくない。
深青に会いたい……!!!!
涙でよく見えないまま、深青の影を追い求めていたまゆは、ふと、視線の端に映ったソレをとっさに縛られた両手でつかみ、悠馬の頭に打ちつける。