スーツを着た悪魔【完結】
「――」
深青は無言でまゆを見つめた後、ゆっくりと、慎重に口を開いた。
「抱かねえ」
「っ……」
ガツンと後頭部を殴られたような衝撃だった。
「な、んで……私が、もう嫌になったの……きらいに、なった?」
「違う!」
「だったらどうして!」
まゆは叫んでいた。
そして深青を突き飛ばし、ガウンを脱ぎ捨てる。
今度は止めることができなかった。
彼の前にさらされた白い肢体を見て、深青は息を飲む。呼吸を忘れた。
彼女の体には、胸の間からへその上にかけて、引きつったような大きな傷があったのだ。
「本当は、私が醜いからイヤなんでしょ! 両親の無理心中で生き残った不吉な子供から、気持ち悪いんでしょ!」
「ま、ゆ……!」