スーツを着た悪魔【完結】
本当は死ぬはずだったのに生き残ったから
大きな傷跡が体に残っているから
幸せになってはダメなのだと呪いをかけた。
そうだ、だから彼女は――
こんなふうにしか自分を扱えない。
自分自身を愛せない。大事に出来ない。
自分の体を差し出して、愛情をはかろうとしている。取り戻そうとしている。
深青はぎゅっと拳を握った後、その手をこわごわ開いて、床に丸まったバスローブを拾い上げ、裸のまゆの体を包む。
「まゆ、違う……お前は、俺の気持ちが変わっていないと言う証拠が欲しくて、自分の体を差し出そうとしているだけだ。抱かれなくちゃって焦ってるだけだ……」
「ううっ……うわぁぁ……!」
図星を突かれたのかわかったのか、さらに、まゆは大きな声をあげて泣き始める。