スーツを着た悪魔【完結】

どちらかというと、感情の起伏が激しいタイプではない。いつだって控えめに笑ったり、泣いていたまゆが、こんなに大声で泣くとは思わなかった。


けれど今、駄々っ子のように泣き叫ぶまゆは、長年押し殺してきた感情の発露に違いない。

だったら吐きだして少しでも楽にしてやるしかない。



「――まゆ。そんなことしなくていいんだ」



深青はひざまづき、子供のように泣くまゆをそのまま抱き上げベッドに腰を下ろす。

膝に乗せたまゆの、ヒックヒックとしゃくりあげて泣き続ける背中を根気強く撫で続ける。




――――……



どのくらい時間が経ったのだろうか。

泣きすぎて頭が痛い。頬もピリピリして痛い。




「――深青……」

「ん?」

「困らせて、ごめん、なさい……」



そのまままゆは、深青の胸に頬を押し付ける。


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