スーツを着た悪魔【完結】
深青に好きだと言われるたび、体が、心が軽くなる。
お前の心は自由なんだ、誰のものでもない。自信を持てと言われているような気がした。
「深青……」
まゆは深青の背中に腕を回した。
きつく、きつく、これ以上は寄り添えないくらいきつく、彼を抱きしめた。
「深青、愛してる……」
愛されるということは奇跡だ。
そして誰かを愛することも――
また、生きること同様奇跡なのだ。
まゆは生まれて初めて「生きていてよかった」と実感し、今日、この夜、彼が与えてくれたたくさんのプレゼントを、一生忘れないでいようと、心に誓った。
深青との未来を初めて考えた。
彼を幸せにしたいと心から思った。