スーツを着た悪魔【完結】
相手は身内、イトコということもあって、きっとまゆは二度三度と傷つけられるだろうと周囲に言われ、悠馬の問題はとりあえず後回しにしたのだ。
まゆがこのままあいつのことを忘れたいと言うのなら、一緒に忘れてもいい。
けれど――
「あいつに会いたいか?」
「――」
まゆはしばらくの間唇を引き結んでいたが、こっくりと縦にうなずいた。
「会いたい……悠ちゃんと話がしたい」
「わかった。一緒に行こう」
「うん……」
深青が一緒だから大丈夫。
ホッとすると同時に、不安な気持ちもこみ上げてくる。
悠ちゃんは私に今更会いたいなんて思うだろうか……。