スーツを着た悪魔【完結】
「自分で確かめるんだろ? そのために来たんだ」
彼の落ち着き具合を見る限り、どうやら私が知らない何かを深青は知っているような気がしたが――
そうだった。
逃げずに悠ちゃんと向き合うんだって、彼が自分と会いたくないかもしれないけれど、まずそれを自分で確かめるんだって決めたんだ。
「うん……」
小さくうなずくまゆを勇気づけるように、深青はにっこりと笑い、それからまゆの髪をこめかみから毛先へと指ですき、顔を近づける。
「俺がついてる」
「ありがとう……」
顔を寄せ合う二人にメミは酷く驚き、まるで信じられないものを見ているような目でまゆを凝視する。
嘘、どうしてまゆが……!
そんなメミを目の端でチェックしながら、深青はほんの少し溜飲を下げ、それからまゆの背中に手のひらをまわしつつ、メミに会釈する。
「では、失礼」