スーツを着た悪魔【完結】
「長年、お前を苦しめた罰が当たったのかもしれないね。ね、まゆ。僕なんか死んだほうがいいだろう?」
その瞬間、まゆはすべてを察した。
悠ちゃんは治す気なんかないんだ。
だからこんな無茶をしたんだ。
先を焦るように、駆け足で、私の前に、嵐のように現れた――
「罰なんか当たってない。ちゃんと治して、手術が受けられるなら、ちゃんと受けて!」
まゆは立ち上がり絶叫していた。
「死んだほうがいいなんて言わないで!」
そして床に置いていたトートバッグを持ち上げ、中身をベッドの上ににひっくり返す。
シーツの上や、膝にガサガサと物が散らばった。
深青もそれを見て眉をひそめ、身を乗り出した。
「まゆ、それは……?」
「私の宝物なの……」
「宝物?」
それまでぼんやりと天井を見ていた悠馬は、まゆたちのやり取りに、自分の膝の上に落ちたそれを見て、大きく目を見開く。