スーツを着た悪魔【完結】
そう。まゆが自宅に寄って持ってきたのは……
外国から送られたカード、きれいな精密なタッチで描かれた絵本、スノードーム
悠馬からまゆに、時折戯れに与えられたプレゼントたち。
彼女の幼いころからの宝物だった。
「悠ちゃん……私、悠ちゃんのしたことはやっぱり酷いと思う……すごく嫌だった。今でも、怖いって思う……」
まゆの声が震える。
漆黒の瞳が見る見るうちに潤み、涙があふれ、頬を伝った。
「けど、今日はそんなことを言いたくて来たんじゃない……」
「え……?」
「悠ちゃんは信じられないかもしれないけど、私、悠ちゃんの優しさに何度も助けられてたんだよ……?」
想像もしていなかったまゆの言葉に、悠馬の顔がくしゃりと歪む。どこか怯えたように、身じろぎする。
逃げ場はないのに、走って逃げたい気分にかられた。