スーツを着た悪魔【完結】
直接触れられるよりも、ずっともどかしい刺激だったけれど、初めてのまゆにはやはりそれで十分だったようだ。
「まゆ」
深青がそっと顔を近づけると、応えるように唇が重なる。
「好きだから触れたいんだ……」
触れては離れる軽いキスを繰り返しながら、深青の手のひらはまゆの肩を包み込むように撫で続ける。
好きだから触れたい。
それは自分も同じ……。
深青に触られたら嬉しい。恥ずかしいけど……。
こうやって、撫でてくれるの。すごく気持ちいい……。
ぼうっと深青の愛撫に身を任せていたまゆだったが――
深青はそのまま彼女を抱き寄せると、ゆっくりとうつぶせに寝かせて、首筋にキスを落とす。
キスのタッチは相変わらず軽く、優しかった。
そして体の前にまわった深青の手は、器用に胸の前のボタンを一つずつ外していく。