スーツを着た悪魔【完結】

その瞬間、自分の唇から、あられもない声が出る。


だけどもうそれほど恥ずかしくない。

だってこれは自然なことだもの。深青を感じている、喜びだもの。



「まゆ、まゆっ……」



徐々にスピードをあげ、苦しそうに、息をあげる深青を見上げていると、切なくなる。

もっと近づきたい。もっと受け入れたい。そう願う二人のリズムが自然と重なっていく。


お互いの息遣い。シーツの波音。甘い声。


潤いを増したまゆは、うっすらと涙目になりながら、深青の背中の肩甲骨のでっぱりを手のひらで撫でる。



これは深青の天使の羽。

深青。私の恋人……私の天使。

私に勇気をくれた。

彼に愛されることを知って、私はもう一度生きていける。




< 560 / 569 >

この作品をシェア

pagetop